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お知らせ
第119回台湾耳鼻咽喉科外科学会国際学会に参加して


当クリニック院長・宮田直輝は、2025年11月15日~16日、台湾で開催された耳鼻咽喉科外科学会国際学会に参加、発表を行いました。以下に、そのレポートを掲載いたします。
■地域から未来を拓く「特色ある診療所」の力
日本の医療現場、とりわけ地域診療所には、大学では決して語り尽くせない「現場の知恵」と「患者に寄り添う医療」が息づいている。今回の第119回台湾耳鼻咽喉科外科学会国際学会(11月15日〜16日 台湾・台南にて開催)では、こうした地域医療を牽引する日本の医師たちが台湾に集結し、互いの経験と哲学を深く共有する貴重な機会となった。かつて日本を支えた既得権構造は変容しつつあり、一方でSNSを中心としたニューメディア世代が新しい価値観を形成している。急速に変化する時代の中で、地域で独自の医療を貫く医師たちの姿は、医療の未来を照らす力そのものである。
■ 患者に寄り添う医療を貫く、現場の医師たち
大阪・いずはら耳鼻咽喉科の 出原啓一院長 は、診療所の経営が厳しさを増す中にあっても、地域の経済状況を考慮し「患者第一」の姿勢を貫き続けている。
“医療は営利ではなく生活に寄り添うもの”
その信念は多くの患者の心を支えている。
足立耳鼻咽喉科・足立光朗院長 は説明しきれない患者の疑問に応えるため、動画による情報提供を開始し、自らYouTuberとして活動。新しい患者教育の形を切り拓いている。
埼玉・戸田笹目耳鼻科の 中上桂吾院長 は、地域診療所では難しい全身麻酔下手術を数多く手がけ、大病院から依頼を受けるほどの「妙手の耳鼻科医」として知られる。
黒沢病院の 歯科医の小林医師 は、通常の歯科治療の枠にとどまらず、自身の無呼吸改善経験をもとに睡眠衛生指導や栄養指導まで統合した総合的な治療を実践している。
そして私自身も、新宿・百人町という多国籍エリアで外国人診療に取り組み、患者の約6割が外国籍という環境の中で、多言語対応の医療を提供してきた。
その経験を基に、今回の学会では外国人診療の現状と今後の展望について講演を行った。
今回登壇した日本の医師たちは個性豊かで、まさに“アベンジャーズ”のよう。台湾側の医師たちからも数多くの質問が寄せられ、活発な討論が続いた。
■ 20年間の絆──台湾から日本へ、日本から台湾へ
今回のセミナーを支えた大きな柱が、めいほう睡眠めまいクリニック・中山名峰院長の、20年以上にわたる台湾との交流である。睡眠医療の黎明期から台湾の医師たちと積極的に意見交換を行い、研究・教育の両面で国際的な橋渡し役を担ってきた中山先生の存在なくして、この国際セッションは実現しなかった。中山先生が若手の頃から強い印象を受けた人物が、台湾成功大学の 林政祐教授 である。揺るぎない探究心で頭角を現し、主任教授に昇進した林医師は、今年ついに学会創立60周年記念大会の開催責任者を務めるまでに成長した。林医師から「ぜひ台湾に来てほしい」と招かれたのも中山先生であり、その呼びかけに応え、中山先生は日本から志を同じくする医師たちを取りまとめ台南へ向かった。そんな中台湾・台南出身の私(宮田)も、中山先生のお誘いでその「仲間のひとり」として参加させていただいた。しかし現実として、睡眠時無呼吸症に関する研究・臨床技術は、いまや台湾が日本をリードしている。日本では若手の大学離れや研究費削減が進み、教育基盤が揺らぐ状況が続く。だからこそ、中山先生が長く築いてきた国際交流は一層重要性を増している。互いの強みと課題を率直に共有し、未来に向けて何ができるかを語り合う──その“20年の絆”こそが、今回のセッションを特別なものにした。
■ 未来を創るのは、“挑戦する医師”
今回参加した日本の医師たちは、それぞれの地域の現場でユニークな挑戦を続けている。医療の未来は、大学だけではなく、こうした挑戦者たちの積み重ねの上に拓かれていく。SNSで情報を得る若手、変化を求める患者、厳しさを増す医療経営──時代が大きく変わる中でも、医師が向き合うべき理念はひとつ。「患者のために、何をすべきか」。国が違っても、制度が違っても、その原点は決して揺らがない。
■ 台湾と日本、共に歩む未来へ
台南での学会は、「医療とは何か」「教育とは何か」という原点を見つめ直す機会となった。大学時代の同級生との再会、台湾語での講演という新たな挑戦、そしてセッションでの熱い議論。医療の未来は、国境を越えた仲間との連帯によってより豊かになる──
その確信を胸に、私は今回得た学びと経験を、これからの診療と教育に生かしていきたい。
■謝辞に変えて
中山先生の粋なご配慮により、私が日本チームのトリを務めさせていただきました。今回の発表は、私自身にとっても、そして私のファミリーにとっても非常に意義のあるものとなりました。
