endoscopy
胃カメラ(食道・胃内視鏡検査)
胃カメラとは
一般的に胃カメラと呼ばれている検査医療機器は、正式には上部消化管内視鏡と呼ばれているものです。
これは主に食道や胃内等にあるとされる病変(潰瘍、腫瘍、結石など)の有無を調べるために行われるもので、同機器の細長いチューブの先端には、胃内などの様子を調べるための超小型レンズや高解像度のセンサー、照明などが搭載されています。
検査について
検査時は、胃カメラ(内視鏡)がリアルタイムで撮影している映像をモニタで確認しながら医師が胃カメラを操作していきます。
内視鏡は鼻もしくは口から挿入することで、胃や食道などの内腔の様子を観察できるようになります。なお観察のみであれば、個人差はありますが10分ほどで検査は終了になります。
ただ、内視鏡は単に観察するだけでなく、病変が疑われる組織の一部を採取して、顕微鏡で詳細に調べる(生検)ことや発見したポリープを切除するといったことも行えます。
検査を推奨する症状
- 喉や胸につかえた感じがある
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍を患ったことがある
- 胸焼け、胃の不快感、上腹部が痛む
- バリウムによる胃の健診で異常を指摘された
- 吐き気、嘔吐、貧血
- 食道がん、胃がんを治療したことがある
- 急な体重の減少
など
食道・胃内視鏡検査で早期発見できる病気
- 逆流性食道炎
- 胃炎(急性・慢性)
- 十二指腸炎
- 食道カンジダ
- 胃潰瘍
- 十二指腸ポリープ
- 食道ポリープ
- 胃ポリープ
- 十二指腸潰瘍
- 食道がん
- 胃がん
- ピロリ菌感染症
経鼻にも経口にも対応します
先にも触れた通り、上部消化管内視鏡検査は、口から内視鏡を挿入するタイプ(経口内視鏡検査)と鼻から挿入するタイプ(経鼻内視鏡)の2つがありますが、当クリニックではどちらにも対応していますので、お好きな方を選択できます。それぞれの特徴は以下の通りになります。
経鼻内視鏡
どちらか一方の鼻の穴に内視鏡を挿入しますので、チューブ(スコープ)の直径は5~6mmほどで細い仕様となっています。内視鏡の画質は、太さが倍近くの径の経口内視鏡と、ほぼ変わらない精度に向上しています。
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メリット
利点としては、口から挿入しませんので、スコープが舌の根に触れずに済みます。したがって嘔吐反射(オエッとなる)もほぼ起きないとされ、検査時に鎮静剤を使用することは少ないと言われています(希望する方には使用いたします)。また経鼻内視鏡の場合は、検査時に医師と会話することができますので、何か違和感や質問があれば、すぐに訴えることができます。
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適応が難しい場合
同検査は、検査中に苦しい思いをしたくない方がよく利用しています。ただ、先天的に鼻腔が狭い方、鼻炎や副鼻腔炎など鼻に病気のある方、鼻の違和感に馴染めないという方につきましては、経口内視鏡での検査をお勧めしています。
経口内視鏡
口から内視鏡を挿入しますので、径の直径は10mmほどとなります。そのため経鼻内視鏡よりも径が太い分、解像度は高く、高精細な映像で食道や胃の内腔にあるとされる病変を確認することができます
痛みが出ないための工夫
経口での内視鏡検査ではスコープを口から挿入しますので、どうしても舌の付け根にこれが触れることで、嘔吐反射を招くようになります。したがって可能な限り苦痛が軽減できるよう、鎮静剤(セデーション)を使用し、ウトウトした状態で検査に臨めるようにいたします。
検査受診までの流れ
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01
お電話からご予約・ご来院
当クリニックでは予約制にて検査を実施しております。
下記お電話番号より予約をお願いいたします。- 受付時間
- 9:30~12:00/15:30~18:00
※土曜は午前診療のみ - 休診日
- 木曜、日曜、祝日
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02
実施前の検査・注意点の説明
感染症の有無を確認するための検査をし、さらに医師から、検査前、検査時、検査後の注意点についての説明があります。
※常用薬がある方は事前に申し出るか、お薬手帳をご持参ください。 -
03
検査前日・当日の準備
検査前日
検査前日の夕食は、消化の良いものを食べてください。
前日の食事では、海藻類、きのこ類、果実類のほか、アルコール類も極力避けてください。検査当日
検査当日は朝食は抜いてご来院ください。
また、検査にあたって腸内をきれいにする必要があるので、検査当日の2~3時間前からコップ一杯の腸管洗浄液(下剤)を10~15分ほどかけて飲みます。その後、排便を何度か繰り返していきますが、便が透明になるまで続けていきます。これで準備は完了です。
上部消化管内視鏡検査の概要
上部消化管内視鏡検査の当日の概要は、以下の通りです。
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Step01
消泡剤を飲む
問診終了後、胃内の泡を除去する消泡剤を服用し、観察しやすくします。
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Step02
麻酔をする
経鼻の場合は、挿入する鼻の穴を選択後、鼻腔(両側の鼻の奥)に麻酔薬を注入していきます。経口の場合は、咽頭麻酔を行います。
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Step03
検査開始(内視鏡挿入)
検査時は左側を下にしてベッドで横になります。鎮静剤を使用する場合は、鎮静剤を注射(投与)してから開始となります。
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Step04
食道、胃、十二指腸を観察
食道、胃、十二指腸の内腔を観察し、医師が必要と判断すれば組織の一部を採取(生検)することもあります。なお経口内視鏡の検査中に口の中で溜まった唾液は、飲み込まずに口の横から流し出します。
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Step05
検査終了
一通り観察を終えたら検査は終了。検査時間は個人差ありますが、10分程度です。
検査後の注意点
検査が終了してもいくつかの注意点があります。検査前に医師から事前に説明もいたしますが、以下の点につきましては、あらかじめ知っておいてください。
- 経鼻内視鏡検査を受けた後は、鼻を強くかまないでください。
- 検査後、1時間程度は飲食を控えてください。とくに経口内視鏡検査を受けた方は、咽頭麻酔が切れるまで、検査終了後1~2時間は飲食を控えてください。
- 組織検査を行った方は、お食事は2時間以上経過してからにしてください。
- 検査後2~3日は、アルコールや香辛料などの刺激物は控え、消化の良いものを召し上がるようにしてください。
- 検査当日の車の運転は控えてください。
- 胃カメラ施行時に胃に空気を入れて膨らませるので、検査後はお腹が張りますが、次第に楽になりますので、心配する必要はありません。
ピロリ菌について
ピロリ菌(正式名はヘリコバクター・ピロリ)とは、胃の中に生息する病原微生物のことで、その大きさは4ミクロン(4/1000mm)ほどと言われています。これに感染してしまうと胃粘膜が炎症を起こしやすくなり、やがて胃酸によるダメージを受けやすくなり、様々な病気を発症するリスクを高くさせます。
そもそも胃の中は強い酸性環境下にあるので、病原微生物が生息するにはとても厳しい状況です。そのような中においてピロリ菌は、胃内の酸性が弱いとされる幼少期に胃の中に侵入し、その後ウレアーゼという酵素を産生し、胃の粘液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解させ、アンモニアで胃酸を中和して生き延びていると言われています。
ピロリ菌の感染経路
感染経路については特定されていませんが、よく考えられているのがご家族(保護者)の方から子どもへの家庭内感染です。この場合、主にピロリ菌に感染している大人から子どもへの食べ物の口移しなどによって感染するのではないかと言われています。
ピロリ菌による疾患
ピロリ菌に感染したとしても速やかに胃内などで何らかの症状が現れるということはありませんが、大半の方がヘリコバクター・ピロリ感染胃炎を発症するようになります。同疾患に関しては、胃・十二指腸潰瘍、胃ポリープ、特発性血小板減少性紫斑病、慢性じんましんといった病気の原因となるものです。さらにピロリ菌感染をきっかけに萎縮性胃炎から一部ではありますが胃がんを発症するケースもあります。
つまりピロリ菌を除菌することは、胃がんの発症リスクを低減させることにもつながりますので、感染が確認されたら直ちに除菌するようにしてください。当院では、ピロリ菌感染の有無を確認する検査と除菌治療を行っています。
ピロリ菌の検査方法
ピロリ菌の検査については、上部消化管内視鏡(胃カメラ)を用いた検査と内視鏡を使用しない検査があります。それぞれの検査方法は以下の通りです。
上部消化管内視鏡(胃カメラ)を使用する検査
胃カメラを用いて胃の組織の一部を採取し、以下の3つの方法の中の1つを選んで感染の有無を確認していきます。
- 培養法
- 採取した胃粘膜の組織を培養します。ピロリ菌が増えるかどうかを確認していきます。
- 迅速ウレアーゼ試験
- ピロリ菌の産生によってウレアーゼの働きで作られるアンモニアの有無を調べていきます。
- 組織鏡検法
- 顕微鏡検査でピロリ菌の有無を調べていきます。
上部消化管内視鏡(胃カメラ)を用いない検査
内視鏡を使用しないでピロリ菌の有無を検査する方法は以下の通りです。
- 尿素呼気試験法
- 呼気中に含まれる(ウレアーゼの働きで作られる)二酸化炭素の量を調べます。
- 抗体測定法
- ピロリ菌に対する抗体の有無を尿や血液から調べていく検査です。
- 抗原測定法
- 糞便中のピロリ菌抗原の有無を確認する検査です。
除菌治療について
上記の検査からピロリ菌の感染が確認されたら、直ちに除菌治療が行われます。主に薬物療法となりますが、使用薬はプロトンポンプ阻害剤という胃酸を抑える薬と2種類の抗生物質になります。これらを1週間の期間限定で朝夕1日2回服用していきます。そして服用期間が終了してから1ヵ月後に除菌判定の検査を行います。これを一次除菌と言います。
判定の結果、一次除菌ではピロリ菌を排除できなかったという場合は二次除菌が行われます。二次では、服用する薬の組み合わせを代え、再び1週間の期間限定で朝夕1日2回の頻度で服用していきます。そして服用期間が終了してから1ヵ月後に再び除菌判定の検査をしていきます。除菌率に関してですが、一次除菌では70~80%程度の方が、二次除菌では90%程度の方が除菌可能となります。
なお、除菌薬を服用する際に現れる副作用としては、下痢、発疹、味覚障害、口内炎などがあります。